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一般財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

ようちえん絵本大賞

第8回ようちえん絵本大賞 | ようちえん絵本大賞:幼児教育の調査・研究 - 私立幼稚園.com

ようちえん絵本大賞

第8回ようちえん絵本大賞

-新しい絵本をみつけよう-

第8回ようちえん絵本大賞は、"子どもに読み聞かせたい絵本"、"お父さん・お母さんに読んでほしい・お勧めしたい絵本"を選考の基準として、(公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構・調査広報委員会が過去5年以内に出版された絵本の中から選考を行いました。その結果、特別賞3作品を含む15冊が絵本大賞に選ばれました。
調査広報委員一同、これからも子どもたちと絵本との出会いの一助となるよう努めてまいります。なお、参考までに調査広報委員会が絵本の紹介文を記載させていただきました。

第8回ようちえん絵本大賞 受賞一覧

絵本名・作者名・出版社名 絵本の紹介
特別賞 (公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構理事長賞
ちがうねん
ジョン・クラッセン(作)
長谷川義史(訳)
クレヨンハウス
大きな魚が寝ている間に、小さな魚が大きな魚の小さな帽子を盗って逃げました。小さな魚は、「ちがうねん」(自分の帽子ではない)とわかっているものの、「大きな魚には小さすぎる」とか、「きっと見つからないさ」と、勝手な理屈をつけて逃げ続けます。「目は口ほどに物を言い」のことわざそのままに、小さな魚のつぶやきと、大きな魚の目の動きなど、文字と絵の掛け合いの面白さ。絵本は、絵と文字のハーモニーで成り立っていることを改めて気づかせてくれる絵本です。
絵本の世界チャンピオンとも言われる、ケイト・グリーナウェイ賞(英)とコールデコット賞(米)の2冠を受賞しました。
調査広報委員長賞
いしゃがよい
さくらせかい(作)
福音館書店
パンダのファンファンと一緒に暮らすエンさん。体の弱いファンファンのため、雨の日も、雪の日も自転車に乗ってひとやまこえ、ふたやまこえ、いしゃがよい。時は流れ、エンさんはおじいさんに。今度はファンファンが具合の悪いエンさんを自転車に乗せ、いしゃがよい。帰り道、ファンファンの「ふたりはずっとなかよしよ」の歌にほろりと涙を流すエンさん。エンさんに、自分を育ててくれた両親の姿を重ねるお母さん方も多いのでは。何だか懐かしく、心が温かくなる一冊です。
こどもがまんなかPROJECT賞
きょうはそらにまるいつき
荒井良二(作)
偕成社
ふと見あげた空に満月を見つけたとき、それは子どもにとっても大人にとってもうれしいことではないでしょうか。大喜びするほどではないけれど、いろいろな場所で、それぞれの人がおなじ月を見あげてうれしい気持ちになっているとしたら、とても素敵なことだと思います。そのうれしさは、日々の暮らしの中で受け取るささやかなご褒美なのかもしれません。先を急がず、ゆっくりとページをめくっていきたい絵本です。
絵本名・作者名・出版社名 絵本の紹介
もうぬげない
ヨシタケシンスケ(作)
ブロンズ新社
日常のどこにでもありそうな一コマ。何でも自分でやろうとする男の子。でも、一人ではできないこともたくさんあります。そんな時、主人公の男の子は、小さな心で何を感じ、どんなことを考えているのでしょう。根拠のない自信と誇り、それらを偉大な「ママ」に助けられながら、一つ一つ確かなものにしていく日々が愛おしい。忙しいママの気持ちも、ふと和みます。
ごはん
平野恵理子(作)
福音館書店
日本人のお米離れは急速に進んでいるようですが、この絵本には和洋問わず8タイプ計115種類のごはんが登場します。たきこみごはん、がいこくごはん、おむすび、おちゃづけ、おすし等々、バラエティに富んだ日本の食文化に改めて気付かされます。特にストーリーがあるわけではなく、まるで「ごはん図鑑」のようですが、食べたことも見たこともないごはんを眺めていると、どんな味なんだろうと想像がかきたてられます。
よるのかえりみち
みやこしあきこ(作)
偕成社
もう ねむたくなっちゃった きょうは たくさん あそんだから…そんな冒頭のフレーズが子どもの素直な気持ちを端的に物語っています。うさぎさんの親子が家路につきます。薄暗くなった町はレストランもほんやさんもみせじまいです。お母さんうさぎにもたれてうとうとしかけているうさぎの子どもは薄目をあけて、暮れる町の様子をゆったりとながめています。親子の会話はほとんどありませんが、感じ合える心のつながりが自然と伝わってきます。やわらかい絵も読む人を幸せにしてくれます。
みんな家にかえる いつものように そして一日が静かに終わる。その安堵感・充実感がこの本のテーマです。
ママがおばけになっちゃった!
のぶみ(作)
講談社
かんたろうのママはおっちょこちょい…。このため自動車事故で「おばけ」になってしまいました。でも、わが子のことが心配でたまりませんでした。そうしたある日の真夜中、ママはついにわが子の前に現れたのです。そして、かんたろうに「自分の人生は失敗の多いものだった。でもあなたを産んだことは大成功だった。あなたを産むためにこそ、わたしは生まれてきたのだと思う」と語ります。これが、かんたろうの生きる力となりました!
まって
アントワネット・ポーティス(作)
椎名かおる(訳)
あすなろ書房
大人はとかく日々の暮らしをよどみなく進めていこうと一生懸命です。ですからいつも時間に追われて大忙し。はやくはやくと、おかあさんはわが子をせきたてます。たとえいつもと同じ道を歩いていても、男の子には楽しいことがあふれています。そのたびに、おかあさんに「まって」といいますが…。忙しい毎日に心がささくれだつこともあるかもしれませんが、最後の「まって」にきっと癒されることでしょう。
おひめさまはねむりたくないけれど
メアリー・ルージュ(作)
パメラ・ザガレンスキー(絵)
浜崎 絵梨(訳)
そうえん社
これは、なかなか寝つかないおひめさまのお話です。「ねえ、せかいじゅうのみんながねるの?」とおひめさまがたずねます。「せかいじゅうのいのちが、ねむりにつくのよ」と、おきさきさまがこたえます。すると「わたしね、ねるのがだいすきなどうぶつしってるよ」と、おひめさまがいいます。こんなやり取りを繰り返すうちに、おひめさまは、ぐっすり、ぐっすりねむりにおちてゆきました。おかあさんもお子さんと一緒にねむってください。
とんでもない
鈴木のりたけ(作)
アリス館
隣の芝生が青く見えるのは絵本の世界でも同じこと。普通の子のぼくはよろいのようなりっぱな皮を持つさいがうらやましい。ところが、さいは「とんでもない、ぴょんぴょんはねるうさぎがいい」。うさぎは「とんでもない、ゆったり泳ぐくじらがいい」。くじらは…。ぐるりと回って最後は普通の子のぼくが一番というオチ。「鈴木のりたけ」の世界を堪能しつつ、いろいろなページにしかけられた「おまけ」を紐解きながら読むのも楽しい本。
ぺんぎんたいそう
齋藤槙(作)
福音館書店
足の短いペンギンが伸びたり、縮んだり、跳ねたりと体操をする姿はなんとも微笑ましく、ページをめくるたびにその動きを真似したくなります。0・1・2歳対象の絵本ですが、楽しい絵本は年齢を問いません。黄色一色の背景に、白黒のペンギンというコントラストも鮮やかで、なんだか元気がでます。最後の体操はペンギンならでは。さてどこを動かすと思いますか?親子での体操に一役買ってくれそうな絵本です。
絵巻じたて ひろがるえほん かわ
加古里子(作・絵)
福音館書店
山でうまれた川が、平野を抜け、蛇行しながらやがて海へとたどり着くまでの長い旅を、川の流れ周辺の人々の営みとともに丹念に描き込んだ加古里子さんの代表作『かわ』を全長約7メートルの絵巻じたてにした本書は、自然科学絵本の金字塔と言えましょう。絵巻の裏面は川の流れのみが水色で印刷され、上流から下流へと変わっていく川の姿が一目瞭然となっています。これは読み物というよりも、とにかく見て楽しい眺める絵本であり、どれだけ眺めていても飽きることがありません。私たちが加古さんの生み出す絵本世界と出会ってはや半世紀。どれほど多くの人が加古さんの素敵な作品群に想像力を刺激され、心を耕され、育まれてきたことでしょう。絵巻じたてとなった加古さんのこの素敵な絵本を皆様もぜひ一度お手に取って開いてみてください。
でてくる でてくる
岩田明子(作・絵)
ひかりのくに
シーンと静かな真夜中の公園に、次々と意外な生きものたちが出現します。それら生きものたちは、表情もコワく異様な大きさで出現するのです。でも、読者である幼な子たちは何故か恐怖心を抱かないのです。何故でしょう?
もう一点、この絵本で面白いのは、次に何が出現するのか。そのヒントが前のページにさりげなく与えられている点です。皆さんのお子様たちはそのヒントに気付く子どもでしょうか?
どっちもね
おおなり修司(作)
高畠純(絵)
絵本館
「日本語はおもしろい」。この絵本をよむと本当にそう思います。「ねこと かげ」「ねこ とかげ」。「いぬと くい」「いぬ とくい」。「ヒョウ にあう」「ヒョウに あう」等々。声を出して読みながら、思わず「にやり」としてしまいます。どこで区切るか。区切りで全く違うものになる日本語の素晴らしさ。ユーモラスな絵を眺めつつ、「文はひとつ、なのに意味はふたつ」を心の中で唱えつつ、ページをめくります。「あー、おもしろい!」
ドングリ・ドングラ
コマヤスカン(作)
くもん出版
「ドーン!グラグラグラ」。ある日、海の向こうの島が赤い火を吹きました。それを見たトチノミたろうは、ドングリたちに呼びかけます。「ぼくらのたびをはじめよう!」と。すると、森中から数えきれないほどのドングリが集まり、赤い火を吹く島を目指して歌いながら進みはじめます。
本書は子どもたちが大好きなドングリを主人公にした、壮大な冒険活劇であり、涙あり笑いありの人間(ドングリ?)ドラマであります。そして物語の最後には、(何故かれらは火を吹く島を目指したのか?)という、その理由が静かに語られ、読む者の胸を打ちます。つまりこれは絵本の形をとった荘厳なる叙事詩なのです。コマヤスカンさんの熱い想いがじわりと心に沁みてきます。