各種教育機関、ご家庭と手を携え、生涯の基盤を担う「幼児教育」の質の向上と子どもの育ちを支えます。

一般財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

幼児教育実践学会

幼児教育実践学会

口頭発表一覧

口頭発表【I】9:30~11:00

北海道:
吉田耕一郎(学校法人光華学園北見北光幼稚園理事長・園長)、西出 勉(北翔大学教育文化学部教育学科教授)
テーマ:
KJ法やICT機器を活用した保育の振り返りと園内研修の手法の提案

これまでの本園の園内研修では、共通テーマを設定して取り組んだり、それよりも自分の実践課題に迫れるように個人テーマを設定して取り組むという、テーマ設定の工夫をしてきた。近年、話し合い方の方法としてKJ法活用が高い参加意識を期待できる事が分かってきている。またICT機器の活用も容易にできることが分かってきている。本発表ではそれらの手法を取り入れた園内研修について提案したい。
宮城県:
木村 創(向山こども園副園長)、坂藤宏樹(向山こども園保育教諭)、請川滋大(日本女子大学准教授)、相馬靖明(和泉短期大学准教授)、高橋健介(東洋大学准教授)、竹村直記(上智大学大学院生)
テーマ:
対話が織りなす幼児理解と援助-向山こども園における日々の保育カンファレンスの取り組みから-

向山こども園では、日々おこなわれる保育カンファレンスでの対話を通して、保育者それぞれが幼児理解を深め、さらに援助のあり方を模索し、その次の日以降の保育に繋げようとしている。つまり、「保育カンファレンスによる幼児理解」と「実践における援助」とを有機的に循環させることで、子どもそれぞれの志向性や育ちに応じた豊かな遊びが展開できるよう取り組んでいる。そこで本研究では、向山こども園の取り組みから、「保育カンファレンスによる幼児理解」と「実践における援助」との関係およびそのあり方について検討していきたい。
関東地区(埼玉県):
小川佳奈子(わかほ幼稚園教諭)、井上里香(わかほ幼稚園副園長)
テーマ:
インクルーシブ保育を考える-毎日の生活や行事を通して育つ思いやりの心-

インクルージョンでは、子どもは一人ひとりユニークな存在であり、一人ひとり違うのが当たり前であることを前提として、すべての子どもを包み込む教育システムの中で、一人ひとりの特別なニーズに応じた教育援助を考えることにある。その考えを基に、気になるお子さんたちと一緒に育つ生活環境による、子どもたちの3才からの思いやりの育ちや、運動会などの行事で芽ばえる思いやりの心の事例を通して提案したい。
千葉県:
上村尚子(由田学園千葉幼稚園主任)、山﨑佳世(由田学園千葉幼稚園園長)
テーマ:
文化的価値をつくる担い手としての幼稚園-多様な主体による協働-

幼稚園を子どもと保育者・保護者・地域の人たちといった多様な人・物・知恵が交錯する場であると捉え、多様な主体による協働を促す仕組みを展開させて2年。保育との連動をさせた実践を振り返ると共に、多様な体験と出会い、心が動くことはどのような意味をもたらしたのかを検証する。地域社会のなかの幼稚園という側面と、保育の質を高めていくというテーマを掛け合わせから見えてくるこれからの幼稚園のあり方について探っていく。
東海北陸地区(静岡県):
大村大輔(静岡豊田幼稚園教諭)、神長美津子(國學院大學教授)
テーマ:
遊びと学び

これからの教育は、子どもたちが「何を知っているか」だけでなく「知っていることを使って、どのように社会や世界と関わり、よりよい人生を送るか」という視点が重要であると言われている。また、感情のコントロールや粘り強さ等の非認知的能力を育むことや、課題の発見や解決に向けた主体的・協働的な学び(アクティブラーニング)の充実も課題となっている。そのような中で、幼児教育に携わる保育者は、子どもたちの主体的な遊びの中には様々な学びがあり、それらが小学校以降の学びにつながっているということをしっかりと捉える必要があるのではないか。そこで私たちは、遊びのプロセスの中で子どもたちが何をどのように学んでいるのかを探ると共に、その学びを支える環境や保育者の関わりについて考えていきたい。
近畿地区(兵庫県):
森 陽一(認定こども園立花愛の園幼稚園学年主任)、宮﨑英輔(認定こども園立花愛の園幼稚園教諭)、鈴木正敏(兵庫教育大学准教授)
テーマ:
幼児の主体性と保育者の意図性とのバランス

子どもの主体性・自主性を大切にする保育とはどのような保育であろう。放任保育とどう違うのか。幼児の主体性を大切にする保育者の意図性とはどうあるべきであろう。本園は幼児の主体性を心掛けた保育を目指している。そこで、一人ひとりの子どもがやりたい事や、出来る事、また得意とする事等を見つけ、自らが選択し、取り組みに参加できるために、物的・人的環境の在り方を考えた。
大阪府:
井上啓子(東豊中幼稚園保育主任)、瀬戸口優子・篠原理恵・藤田美陽子・藤本真知子・井上啓子・平野愛(東豊中幼稚園教諭)、橋本祐子(関西学院大学教育学部教授)
テーマ:
教員の自主的な計画・運営による園内研修

本園では保育の質・教員の資質の向上を目的とした園内研修を重視し、定期的に実施している。研修内容の計画や運営は、管理職(園長・主任等)が中心となるのではなく、すべての教員がリーダーシップを取って行える体制を取っている。本発表では、これまでの園内研修を振り返り、教員が自主的に学び合える環境づくり、具体的な研修内容や運営方法等を検証するとともに、どのような課題があるかについて報告をする。
四国地区(徳島県):
吉村早紀(はのうら幼稚園)
テーマ:
子どもの育ちを支える言葉がけ・環境構成のタイミング

子どもたちの中から生まれたあそびを観察・理解し、活動の様子を振り返る中で、言葉がけの仕方やタイミングに工夫がいると感じることがある。そのタイミングは一人一人違ったり、活動内容によって変わってくる。子どもたちの自主性や想像力を伸ばし、友だちとのつながりをしっかりと感じられるような言葉がけや環境構成のタイミングについて、保育の現場での実践を報告し、子どもの成長の源となる言葉がけや好奇心を膨らませる環境構成について考えていきたいと思います。
福岡県:
庄司 誠(学校法人玄海学園貝塚幼稚園園長)、那須信樹(東京家政大学教授)、宮﨑貴美子(香蘭女子短期大学准教授)
テーマ:
多資格・多職種協働による保育パラダイムの転換

平成17年、「食育基本法」が制定され、平成20年3月に改訂された幼稚園教育要領にはじめて「食育」に関する言及が入ってきました。当時どのように取組んで行こうか悩んでいた矢先に多資格(幼稚園教諭・保育士・栄養士・フードスペシャリスト)を取得し大学を卒業してくる学生に出会いました。その人材(現当園教諭)を「食育選任の教諭」として採用することにより、保育の質向上を始め、様々な大きな動きに繋がって参りました。本発表は本園の事例を通し、現場における多資格取得者・多職種協働による保育パラダイムの転換の可能性を参加者全員で考えて行きたいと思います。
熊本県:
増永彩希(荒尾第一幼稚園教諭)、宇梶達也(荒尾第一幼稚園園長)
テーマ:
「遊び仲間」の形成と協働的な活動

ルールのある集団遊びは長い時間をかけて、遊びの対象が「先生」「気の合う友達」から「遊び仲間」と変わってきます。その「遊び仲間」が形成されるまでには普段からの遊びを大切にしながら、協働的な活動も大切だと考えています。この協働的な活動やルールのある集団遊びでは自律性・社会性・問題解決能力が養われ、それは「遊び仲間」の形成にも必要な知性だと考えます。そこで本園では、普段の遊びの缶蹴りや鬼ごっこ、協働的な活動として七夕会やひな人形製作を通して、「遊び仲間」が形成されるよう実践してきました。その実践を報告したいと思います。

口頭発表【II】13:00~14:30

北海道:
大谷壮史(学校法人大藤学園認定こども新さっぽろ幼稚園・保育園 保育園舎園長)、戸田まり(北海道教育大学札幌校教授)
テーマ:
日常の歩行によって生まれる体力差

当認定こども園は、1号認定こどもが過ごす幼稚園舎と、2・3号認定こどもが過ごす保育園舎がある。2号認定こどもは日中は教育時間を1号認定こどもと共に過ごすため、300メートル離れている幼稚園舎に徒歩で移動する。当園の理念に基づき、雨の日も風の日も雪の日も、気象庁から警報が発令されない限り、自分の足で歩く。その結果、1号認定こどもと2号認定こどもに明確な体力差が見えてきた。
東北地区(山形県):
中村圭子(学校法人山鳩学園東原幼稚園主任)、東 義也(尚絅学院大学総合人間科学部子ども学科教授)
テーマ:
幼児理解と育ちの記録-遊びの考察-

日々の子どもの遊びを記録し、遊びの中で子どもが育つありようをとらえてきた過程について実践発表を行う。教師集団がその記録を共有しながら、遊びの充実や遊びの質について語り、教師のあるべき姿や環境構成について検討を深めてきた結果、私たちは保育観をより深め、成長することができた。また、記録の方法を工夫(写真や動画を用いた記録を多用)したことによって、子どものよりリアルな姿をとらえることができ、観察の視点も広がった。
埼玉県:
中村 萌(認定こども園母の会保育教諭)、澤田ゆい(認定こども園母の会保育教諭)、高橋健介(東洋大学准教授)
テーマ:
ドキュメンテーションを用いた保育カンファレンスの取り組み-写真記録を介した話し合いによる幼児理解の広がりと深まり-

認定こども園母の会では、認定こども園として多様な生活環境を背景とする子どもたちに対し、特に異年齢や仲間との遊びや生活を通した学びや育ちを重視し保育をおこなっている。さらに、遊びを通した子どもたちの育ちに対する保育者の読み取りを深め、それを援助に繋げていく試みとして、ドキュメンテーションを用いた保育カンファレンスに取り組んでいる。そこで本研究では、本園の取り組みから、写真を活用したドキュメンテーションおよびそれを用いた保育カンファレンスによる幼児理解のあり方について検討していきたい。
東京地区:
永田陽子(大和郷幼稚園園長)、岡 健(大妻女子大学教授)
テーマ:
公開保育コーディネーター養成カリキュラムの開発(2年度)

(公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構の研究委託を受け、公開保育コーディネーター養成カリキュラムの開発を行ってきた。今年度は、その継続とstep3以降について取り組んだ。さらに3園の実践例を元にカリキュラム全体のブラッシュアップを図った。
神奈川地区:
佐伯妙有(伊勢原ひかり幼稚園副園長)、佐藤康富(鎌倉女子大学短期大学部初等教育学科教授/学科長)
テーマ:
公開保育を通して自園の保育を見直す

保育を考えるにあたって幼児理解はその根底にあります。私たちは日々様々な視点から子どもたちを見てその話し合いを重ねて参りました。また全日のコーディネーター養成講座を受けて公開保育を実施していく中で、事前にどこを見てもらいたいか視点を絞り、当日はその視点に沿って付箋で意見を出すことで、保育の良さや課題を共有していきました。そこで今までの経過を考えながら共通の視点など公開保育をより有意義に行うための方法を考えていきます。
大阪府:
石塚貴史(幼保連携型認定こども園庄内こどもの杜幼稚園体育講師)、塩飽和也・岩﨑 巧・西村久美(幼保連携型認定こども園庄内こどもの杜幼稚園保育教諭)
テーマ:
主体的な組立体操-5歳児の創作組体操を通じて-

組立体操といえば運動会の花形種目の一つですが、見た目や完成度を重視するあまり指導者主体の取り組みになっていたり、怪我が起きたりする現状があります。当園でも5歳児が組立体操をおこなっていますが、より子どもたち主体の活動になることを目指して、子どもたちが話し合いながら一から作り上げる「創作組立体操」に取り組んでいます。「創作組立体操」は「組立体操」と何が違い、何が子どもの育ちに寄与するのか、今までの当園の取り組みをもとに考察します。
大阪府:
影山佳代(あけぼの保育園施設長)、森本亜紀子(あけぼの保育園主任)、小澤靖子(あけぼの保育園保育士)
テーマ:
布おむつと排泄との関係について

自園では3年前から布おむつの取り組みをはじめました。布おむつは、排泄の自立に影響するだけではなく情緒、愛着といった所でも影響があることが分かりました。布おむつを通して、子どもの情緒、愛着関係のことを発表します。
中国地区(広島県):
小谷加奈(かえで幼稚園教諭)、岡花祈一郎(福岡女学院大学講師)
テーマ:
幼児期における片付け

幼稚園では、子どもの「遊びたい」と言う思いと、保育者の「片付けてほしい」という思いがぶつかり合うことがある。保育者は、子どもの片付けをどのように理解して、どのように支援していけば良いのだろうか。本研究発表では、以下の3つの視点から片付けを考えてみたい。一つ目は、子どもにとっての片付けの意味について、二つ目は、遊びと片付けの関係性について、三つ目は、子どもにとって片付けやすい環境についてである。広島県では、複数の幼稚園から事例をもちより共同研究を進めている。
福岡県:
薙野修二(花畑幼稚園園長)、安永智美(北九州少年サポートセンター)、髙司多瑛(花畑幼稚園教諭)
テーマ:
家庭の重要性

いろいろな教育方法があるが、果たして、現在行っている幼児教育が10年後20年後本当に意味があるのか。目の前の短絡的な結果だけを見るだけでは、実は、見誤ることがある。家庭環境を考慮しない教育は、短期的には成功に見えても、長い目で見ると失敗におわっている。しっかりと家庭へも根拠を持ってお話ができる幼児教育をめざす。資格者しかなれないのであれば、専門家としての知識をお話できることを目指す。
九州地区(長崎県):
田中元子(認定こども園いなさ幼稚園園長)、上出恵子(活水女子大学健康生活学部子ども学科教授)
テーマ:
おはなし・わらべうたで育む豊かな言葉の世界、イメージする力。

子どもたちを取り巻く生活環境は、どんどん進化し、便利になり、複雑になっています。しかし、それが子どもたちの心を豊かにすることに繋がっているかというと、そうとばかりは言えないと思います。おはなしやわらべうたは、地味だけれども、心で感じイメージする力を育てたり、言葉の世界を豊かにすることに繋がっていくと考え、保育の場での実践の仕方や育つ力について考えていきたいと思います。