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一般財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

幼児教育実践学会

幼児教育実践学会

第15回幼児教育実践学会 研究者発表 企画趣旨概要一覧

2024年8月23日(金)16:45~17:30 研究者によるプレゼンテーション
2024年8月24日(土)13:00~15:30 研究者発表

①弘田みな子(神戸教育短期大学講師)
テーマ:対話的保育活動における保育者の役割とスキルについて
近年、多くの園で「こども会議」や「ミーティング」等の対話的な保育活動が取り入れられている。子ども達の対話的な保育活動においては、保育者による機を捉えた関わりも重要な要素である。しかし、保育者養成段階においては、「対話」における保育者の具体的役割や、そのためのスキル獲得の道筋は十分には明示されておらず、対話的な保育活動に関わることに対して苦手意識を感じる学生も多くいる。本発表では、対話的保育活動における保育者の役割を整理し、養成校での授業を通したスキル獲得に向けた取り組みの可能性等について報告する。
②高橋健介(東洋大学准教授)
テーマ:遊び込むや探究に向けた保育・幼児教育―動画による「お互いの保育を見合う園内研修」を通して考えられたこと―
発表者は、これまで複数の園と、動画による「お互いの保育を見合う園内研修」をおこなってきた。本園内研修では、各園と、遊び込むや探究に向けた保育者の援助のあり方を検討してきた。そのことを通して考えられたことは、①素材や道具を用いてつくること、②集まりでの遊びの振り返り、③情報の活用、④見取りと読み取りによる継続的な援助、これら4つが保育者の援助のポイントになるということである。
③大澤洋美(東京成徳短期大学教授)、境愛一郎(共立女子大学准教授)
テーマ:遊びとリスク-戸外遊具の視点から-
「保育の中での遊びとリスク」についての共同研究では、子どもが安全・安心・安定の環境の下で遊び、主体性を発揮して成長や発達に必要な経験を積み重ねるために、遊びの中のリスクを低減させることは大切であると考え、様々な視点から研究を進めている。本発表では、公園の戸外遊具の視点から、リスクの捉え方やその周知などの変化について発表したい。
(共同研究者(公益財団法人野間教育研究所幼児教育研究部門))秋田喜代美(学習院大学教授)、久留島太郎(植草学園短期大学教授)、箕輪潤⼦(武蔵野⼤学教授)、宮田まり子(白梅学園大学准教授)
④松尾奈美(島根大学講師)
テーマ:子どもの創造的な思考を育む認知の視点―認知特性と「速い思考」「遅い思考」―
どの子ももつ、創造的な思考を育むために、私たちはどのような姿勢で子供たちと接すれば良いのか。目に見える成果や、速く正確に答えを出すことを求められるなかで、子ども達の感性や、練り上げる思考が阻害されてしまう。人それぞれの思考の独自性、「遅い思考」「速い思考」といった認知の視点から、教育の在り方について、考えてみたいと思う。
⑤川端美穂(北海道教育大学教授)
テーマ:園内研修における実践知の蓄積過程
保育は、その仕事の包括性、複雑性や不確実性ゆえに、そこで求められる専門的知識を明確にするのは容易ではない。また、価値観が多様化する現代にあっては、「何に向かって教育するのか」という普遍的な価値を保育学の基礎に置くことも困難である。現場の保育者たちは、そうした危うい実践を「よりよい」ものにするために、どのように実践知を蓄積しているのか。ここでは、園内研修のあり方に着目して、そこで交わされるコミュニケーションの特徴について論じたい。
⑥新居直美(東京立正短期大学専任講師)
テーマ:乳幼児と絵本の読み聞かせの関係性〜保育者のエピソードからの検討〜
言葉がまだ未発達であり、個の世界をもつ2歳児クラスの子どもが日々の保育の中で行われている絵本の読み聞かせを通してどのような発達が見られるのか検討する。分析方法は2歳児クラスを担当したことがある保育者からアンケートを採取しその中のエピソードをもとに絵本と2歳児の姿の関係性の質的分析を行う。またエピソードにでてくる言葉を共起ネットワークにかけ、言葉の繋がりを検討する。
⑦田澤里喜(玉川大学教授)
テーマ:「自発的な活動としての遊び」の充実とそれを目指す園作り
幼児期の遊びの中に様々な学びや育ちがあることは言うまでもないが「自発的な活動としての遊び」の充実にはその理解を含み難しさが伴う。この難しさに対して保育者の個の力だけに頼るのではなく組織的につながり、園全体で遊びの充実、質の向上を目指すことが重要である。本発表では遊びの重要性を踏まえ、保育者の学びと成長が保障される組織のあり方や管理職のリーダーシップについて検討する。