各種教育機関、ご家庭と手を携え、生涯の基盤を担う「幼児教育」の質の向上と子どもの育ちを支えます。

一般財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

幼児教育実践学会

幼児教育実践学会

口頭発表一覧

口頭発表【I】9:30~10:50

北海道地区:
丸谷雄輔(札幌ゆたか幼稚園園長)、高橋真由美(藤女子大学教授)、鹿谷梢(札幌ゆたか幼稚園教諭)
テーマ:
発表会を通して子どもの育ちを考える-「観せる」発表会から「創る」発表会へ-

「発表会」は子どもの育ちを保障する場であることに加え、「保護者に観てもらう」場であるという側面を持ち合わせている。そのため、保育者の意識が「観せること」向き、過程よりも出来栄えを求めてしまうことも起こりうる。本発表では「観せる」ことよりも、子どもたちと「創る」ことに重きをおいた発表会への一連の活動を紹介する。その上で発表会という行事における子どもたちの育ちと、それらを支える保育者の役割について考えていきたい。
宮城県:
久松史奈(ろりぽっぷ幼稚園教諭)、松本太一(アナログゲーム療育アドバイザー代表)
テーマ:
アナログゲーム活用からみえる子どもの発達と学び

近年、アナログゲームへの関心が高まり、ボードゲームやカードゲームを研修(=教育)目的で活用している企業や学校なども増えてきている。保育の現場でも、活用してきた自園だが、今年度は、4歳児クラスでのインクルーシブ教育を進める上で、アナログゲーム遊びの環境を整えて、そこからみえる子どもたち同士の関わりや発達を研究した。
宮城県:
木村創(認定向山こども園副園長)、荒井あゆみ(認定向山こども園主任)、木村裕依菜(認定向山こども園副主任)、高橋健介(東洋大学准教授)
テーマ:
子どもに寄り添うナラティブな保育記録を補完するもの-カンファレンスやICTの活用による子ども理解(アセスメント)の深まり-

保育の質向上にむけて、カリキュラム・マネジメントを充実させていくためには、保育記録等による子ども理解の深まりが必要である。生き生きとした遊びの実態や子どもの思いを理解していくためには、ナラティブな子ども理解やその記録を重視すべきと考えるが、ナラティブな読み取りは、保育者個人の主観になりがちとの課題がある。向山こども園では、他者との対話(カンファレンス)やICTによる保育記録の作成・分析を通して、ナラティブな読み取りを重視しながらも、それを補完することで実証性を伴う子ども理解やその記録(アセスメント)を目指している。本発表では、ナラティブな保育記録を補完するものとして、カンファレンスやICTの活用についてその効果と課題を検討していきたい。
関東地区(山梨県)
中村有沙(双葉甲府幼稚園教諭)、秋山麻実(山梨大学教授)
テーマ:
普段の遊びの中に芽生える個の育ちと集団としての育ち-保育の振り返りを通して-

保育者から見ると、友だちへの興味や関心がまだ薄いのではないかと感じられていた園児に着目し、仲間と作り出す遊びの中で育つ姿を追った。担任だけでなく複数の保育者が連携をとって対象者を見守り、ありのままの姿を受け止め、職員間で保育の振り返りや省察を重ねた。その中で、対象児や友だちの育ちを捉え直してみた。
千葉県:
中林忍(認定こども園千葉明徳短期大学附属幼稚園保育教諭)、池谷潤子(千葉明徳短期大学准教授)
テーマ:
園庭改善によって見えてきたもの

明徳幼稚園において、園庭整備に取り組んだ過去7年間の取り組みについてふりかえり、そこから見えてきた「子どもたちの主体的なあそび」と「今後の課題」について考える。園庭整備を行う上での具体的な視点として以下の3点が挙げられる。①子どもたちのあそびを見ること ②保護者や子どもが「つくる側」の意識をもつための協働的な活動 ③園内外の研修での学びを活かしていくこと。今後の課題として、保育内容の見直しと、職員間の相互理解などが考えられる。
神奈川地区:
古郡亜希夫(綾西幼稚園副園長)、久保健太(関東学院大学専任講師)、島雄晴菜(鎌倉女子大学幼稚部教諭)
テーマ:
子どもの姿から「主体的・対話的で深い学び」を読み解く

子ども達自らの「やりたい」という気持ちから始まる「主体的」な学び、他児と試行錯誤する「姿」から学び合う「対話的」な学び、自分なりの方法を試し、新しい方法を編み出す「深い学び」が大切である。という共通認識のもと研修がスタートしました。そして、「やりたいが続かない子」、「やりたいけど、できないからやらない子」などの「やりたい」という気持ちをいかに引き出していくか、発達心理学者のE・H・エリクソンの発達理論等をもとに、持ち寄った事例で話し合いながら、子どもの内面の気持ちや保育者の手立てについて研究を深めてきています。
大阪府:
岡部祐輝(幼稚園型認定こども園高槻双葉幼稚園教頭)、埋橋玲子(同志社女子大学教授)
テーマ:
子どもの「遊ぶ」が「遊びこむ」になる環境を目指して-保育環境評価スケールを活用する視点から-

子どもたちの「遊び」は、広がり、繋がり、深まることで「遊ぶ」が「遊びこみ」となり、どこまでも子どもの興味関心は広がっていくものと考えます。当園では、数年前から「保育環境評価スケール(ECERS)」を手掛かりに保育室環境を見直し、スケールを生かしながら成果や課題と向き合い、次の展開を様々な視点・子どもの姿などを含めながら検討してきました。今回は取り組みの過程で生まれたもの、その先に見えてきたこと等を主な発表内容としたい。
近畿地区(兵庫県):
佐阿部能光(認定こども園いぶき幼稚園園長)、鈴木正敏(兵庫教育大学大学院准教授)
テーマ:
5歳児 子どもと保育者の主体性を大切にした保育「やってみよう!があふれだす-保育者主導型から子ども主体の保育へと変わり始めた一年目の軌跡-」

当園では「自分で考え、自分で決め、自分で動く子ども」を育てられるようになるため、子どもの主体性を大切にした探求活動(プロジェクト型保育)を充実できるよう、保育内容の変革に取り組んでいます。例えば、三大発表会の一角である音楽会を文化祭に変えるなど、行事の在り方なども大きく見直してきました。一年間の子どもの姿を振り返りつつ、取り組みの中で生まれた子どもと保育者の葛藤場面、保育者の思考や気持ちの変化などについて発表します。
愛知県:
矢澤留美(豊橋才能教育こども園主幹保育教諭)、齋藤善郎(椙山女学園大学教授)
テーマ:
子どもたちが主体的に活動する運動会-意欲を引き出し活動することの大切さ-

幼児教育では、子どもたちが主体的に活動できる保育が日々考えられている。運動会においても保育者主導の流れではなく、子どもたちが考え、生みだした活動を取り入れていく必要がある。子どもたちが活動の中で「やってみたい!」「楽しい!」「こうしたらどうなるんだろう?」と興味関心を持ち、やりたい気持ちを引き出す導入や仕掛け作りなど環境設定を考え、運動会を迎えるまでの活動の様子を紹介していくこととする。
四国地区(香川県):
横山綾香(認定こども園勅使百華幼稚園保育教諭)、山本幾代(高松短期大学准教授)
テーマ:
愛されて育つ子ども-多様な子どもの受入れとクラス集団の育ち-

愛されて育つことは、健全な成長には不可欠である。子どもは、ありのままを受容され、愛される経験を十分に重ねることで、かけがえのない存在であるという自信を持つようになり、基本的な信頼関係を獲得する。一人ひとりの育ちが豊かになるための保育者の関わりを、仲間づくりやクラス集団の育ちにどのようにつなげていけばよいかを考察し、愛されて育つことの大切さについて実践事例を通して発表する。
佐賀県:
浅井太希(九州龍谷短期大学付属龍谷こども園教頭兼主幹保育教諭)、竹森裕高(九州龍谷短期大学准教授)
テーマ:
楽しみに思うこころを育む運動遊び

幼児期において、生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現することは、明るく豊かで活力のある生活を営む態度を育てるために重要である。幼児期運動指針(文部科学省)においても、幼児期の主体的な遊びを中心とした運動が、運動能力の発達及び多様な動きの獲得に影響すると示されている。幼児自身が主体的に体を動かしたくなる、やってみたくなる遊びに夢中になって取り組む中で、「またしたい!」と楽しみに思うこころが育まれるのではないか。また、それに関わる保護者の運動習慣や運動意識や幼児の体力測定結果を職員と共有することで、より質の高い幼児教育になるのではないかと思い、本研究を実施した。

口頭発表【II】13:10~14:30

東京地区:
関岡貴之(多摩みゆき幼稚園園長)、河邉貴子(聖心女子大学教授)、多賀真弓(木内鳩の家幼稚園副園長)、永田陽子(大和郷幼稚園園長)
テーマ:
SOAPを使った園内研修の可能性について

昨年の研究(遊びの中の「学び」をどう読み取るか)で、遊び理解の視点はいまだ保育現場で共有されていないのではないかと疑問を持ち、保育者が「よく遊んでいる」と捉えた事例の分析を通して、その中にどのような「学び」を読み取ることができるのかを明らかにした。今回は、それらを踏まえ実際の保育にどう生かしていくべきかを考えてみた。そこで各園において、子ども理解を深める園内研修にSOAPの視点を取り入れ、保育者の子ども理解がどのように深まるのかを検討した。
千葉県:
柴田茂樹(健伸幼稚園教務)、David Freedman(慶應義塾大学環境情報学部教授)
テーマ:
子どもの描画表現の意義と育ちの理解に関する研究-描画実践記録とその内容分析から-

幼児は楽しいこと、悲しいこと、園生活を通じて経験したことを心のキャンパスに描いていく。その心に描かれたイメージを絵として表現していくための手段の一つとして描画表現がある。保育教諭は幼児の絵の世界を理解・共感し、更にその世界を拡げるための手立てを日々模索することが求められる。本研究では絵の世界から子どもを理解する上で重要になるのは、幼児の発達のプロセスとその特徴の理解だけでなく、描画表現の際に「そもそも描画表現の意義とは何か」その本質の軸立にあると仮説を立てている。園生活、1年間の絵画実践の映像・写真記録を用いて、その軸立からどう環境を作り、画材を選び、技術を伝達していき、子どもたちの絵と姿がどのように変容を遂げたのか。内容分析を試み、描画表現の意義と育ちの理解を明らかにしていく。
東北地区(岩手県):
小野寺郁子(修紅短期大学附属認定こども園主幹保育教諭)、中尾彩子(修紅短期大学幼児教育学科助教)
テーマ:
子どもはどこを見ているのか?保育者の思いと子どもの興味

私達は日々、子どもの遊びや興味のあるものを理解しようと努めている。しかし、保育者の理解は本当に合っているのだろうか。保育者が意図をもって配置を変えたり物を置いたりしたとき、それらは子どもの目にすぐに留まるのだろうか。そこで、子どもたちの視線の動きを計測し、計測した結果を振り返ることで、保育の技術向上につなげることができるか検討したい。また、子どもが飼育動物を観察する時、その視線は保育者の視線と同じ箇所を見ているのかも併せて検討したい。
東京都
栁原希未(日本女子大学附属豊明幼稚園教諭)、山口舞・日下部弘美(日本女子大学附属豊明幼稚園教諭)、請川滋大(日本女子大学准教授)
テーマ:
3歳児の保育に見る10の姿の芽生え-写真を生かした記録から-

3歳児クラスでは様々な記録を活用しています。平成30年度幼稚園教育要領改訂に伴い幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿が示されました。今回、写真を生かした記録を介して学年で話し合う中で、3歳児でも10の姿の芽生えが感じられました。その視点を3歳児の段階から意識して保育していくことが大切ではないかと思い、考えていきました。
東海北陸地区(岐阜県)
水田晃平(はなぞの幼稚園体育指導教諭)、春日千夏(はなぞの幼稚園園長)
テーマ:
集団遊びを題材にした幼稚園教諭が教える英会話指導プログラムの開発

外部委託による英会話教室は、外国人とのふれ合いという点において効果はあるが、日常生活から英会話に親しみ、自然と身につけていくと言う点においては効果が少ない。最も効果的なことは、幼児が日頃からよく話す単語や短文を英語で教え、保育の中で保育者とともに繰り返し使いながら体得することである。この指導プログラムを確立し、幼稚園教諭主体の英会話教育を導入することは有意義と思われる。本園ではこのプログラムを開発したので、実践事例とともに発表する。
静岡県:
池田美穗(常葉大学附属とこは幼稚園副園長)、山下きぬ子(常葉大学附属とこは幼稚園指導教諭)、松浦秩保子(常葉大学附属たちばな幼稚園主任)、渡邉知佐(常葉大学附属たちばな幼稚園指導教諭)、遠藤知里(常葉大学短期大学部准教授)
テーマ:
幼保連携型認定こども園「子どもがまんなか」に向けて

先行園に学び、新たな保育を模索してきたこども園一年目。保護者の就労を支えること、行政との対応で見えてきた課題もあるが、「初めて」であるからこそ0歳児から5歳児までの子どもの育ちを感じることもでき  た。移行後の気づきや抱えている課題等について取り組みを提示し、ご参加くださる皆様からの意見も聞きながら、子どもをまんなかにした保育の幅を広げる学びの場としたい。
大阪地区:
北島孝通(幼保連携型認定こども園庄内こどもの杜幼稚園副園長)、永渕泰一郎(畿央大学准教授)
テーマ:
ECEQの仕組みを活用した園内研修の試み

当園では、月に一度、外部講師に園の保育を見てもらい、助言・指導を受けている。その良さはある一方で、どうしても職員が受け身の研修となりがちになるという課題もあった。そこで、当園では(公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構が推進している「公開保育を活用した幼児教育の質向上システム」(ECEQ:通称イーセック)の仕組みを活用した園内研修を計画している。その成果がどうであったかを発表し、今後の園内研修の在り方を検討してみたい。(※当園は、ECEQを実施し認証を受けている。また、発表者はECEQコーディネーターの資格を取得している)
中国地区(鳥取県):
田中美幸(かもめ幼稚園主幹教諭)、井上菜穂(鳥取大学教育支援・国際交流推進機構学生支援センター准教授)
テーマ:
幼稚園における特別な配慮を要する子どもと保護者への支援とは

本研究は、幼稚園が発達障がいのある子どもとその家族に介入をおこなうことで、教育・医療・福祉の分野との連携によって、継続的支援に繋がったケースである。子どもの発達段階に応じて幼稚園における本人介入および保護者支援の方法を変えていくことが、子どもの発達促進へとつながった。また幼稚園が早期介入を行うことで、保護者が子どもの発達を受け入れることができ、それによって各機関との連携につながった。このケースから、子どもの様子を一番身近に把握することができる保育者の関わり、園全体の支援における現状と課題を明らかにする。
九州地区(鹿児島県):
宮内菜穂子(認定こども園伊敷幼稚園保育教諭)、村岡綾(鹿児島大学教育学部附属特別支援学校支援部主任)
テーマ:
インクルーシブ教育・保育推進のための組織的な取り組みを通して

わたしたちの幼稚園にも、「コミュニケーションがうまくとれない」、「給食の好き嫌いが激しい」、「集中力が持続しない」等の様々な課題を抱え苦しんでいる多様な園児がいる。そこで、私たちは、そのような園児の願いや保護者の思いをしっかり踏まえた上での合理的配慮を大切にしつつ、どうしたら全園的な実践になるのかを模索してきた。ここでは、わたしたちが行っている組織的、かつ具体的な実践について発表し、ご意見をいただきたいと考える。
青森県:
松橋恵美(認定こども園百石幼稚園副園長)、佐貫巧(八戸学院大学短期大学部准教授)、立崎 博則(大垣女子短期大学講師)
テーマ:
子どもと地域をつなぐ幼児造形の可能性をさぐる

幼児の造形活動という窓を三つのまなざしでのぞき込むと、子どもと地域、地域と保育の質、地域と幼児教育の広がりなど、多くの可能性が見えてきました。幼児教育の役割が社会の中で注目されつつある今、造形活動を通じて何が出来るのか?可能性を探ります。実際の取り組みの発表を聞いて、参加者も自らの地域で何が出来るのかを考えます。方法は、アートワークショップの手法で、楽しみながら学びが広がる体験も出来ます。会が終わった後には、早速地域で出来ることをしたくなる、資源を見つけたくなることを目指します。

【平成31年7月12日現在】