各種教育機関、ご家庭と手を携え、生涯の基盤を担う「幼児教育」の質の向上と子どもの育ちを支えます。

一般財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

幼児教育実践学会

幼児教育実践学会

口頭発表一覧

口頭発表【I】9:30~10:50

北海道地区:
丸谷雄輔(札幌ゆたか幼稚園園長)、高橋真由美(藤女子大学准教授)、平野麻実(総務主任)、竹内倫子(教務主任)
テーマ:
遊びが展開される「場」の意味をとらえる保育実践-砂場以外の場所で展開される砂遊びに着目して-

砂遊びは子どもの育ちを様々な面から支える遊びであり、砂場での保育実践や子どもの姿を対象にした研究も多い。しかしその大半が、「砂場」での遊びに焦点をあてたものである。本発表では、「砂場以外の場所」で行われている砂遊びに着目し、子どもがその「場」を選ぶ意味を読み取り、それに基づいた援助のあり方を検討した実践を紹介する。この実践を通し、子どもが遊びを展開している「場」が遊びにとってどのような意味があるのか読み取る実践の必要性を考えてみたい。
東北地区(山形県):
伊藤香(学校法人東谷学園天童東幼稚園・天童東第二幼稚園主任教諭)、小林俊介(山形大学地域教育文化学部教授)
テーマ:
世界は Omoshai であふれている

子どもにとって「質の高い遊び」「価値ある体験」とは何かを探りながら、本園の遊びを捉え直した。遊びで感じる「Omoshai」と、子どもに対しての「Mengoi」という思いを柱にして遊びを追求・分析した。年長児が遊びのパイオニア的存在として、ダイナミックに展開する遊びを受けて、年中・年少児が刺激を受け、憧れを抱いて遊びのスキルアップをしていく姿を捉えることが出来た。そこからさらに「質の高い遊び」「価値ある体験」を考察していきたい。
宮城県:
粉川妙子(尚絅学院大学教授)、田髙美恵子(久慈幼稚園園長)
テーマ:
幼児期における健康教育を核とした「いのちの教育」の実践-幼稚園での取組み-

子どもたちを取り巻く社会の急激な変化に伴い、いじめやそれによる自殺、陰湿的な問題行動が近年顕著になってきている。自他の生命を尊重する豊かな心を育むために、小学校で行われている「いのちの教育」を就学前の幼児期から実施することがより効果的であると考える。現在、幼児期の「いのちの教育」は単発的な健康教育として行われているに留まっており、管見の限りにおいて系統的・継続的な実践には至っていない。そこで本研究では、就学前の幼児期から実施することがより効果的であることを明らかにするため、幼稚園児(3~5歳児)を対象に、各年齢の成長発達に応じた健康教育を核とした系統的・継続的な「いのちの教育」の実践に取組んだ。
関東地区(新潟県):
草間妙子(いずみ幼稚園教頭)
テーマ:
「いいことみつけた」主体的な表現活動と感性の育ち-子どもと保育者と共に学び合う保育-

本園では子どもの主体性を大切にし、遊び・活動・行事がからみ合って一人一人の学びにつながるように保育の在り方を検討し、実践・評価を重ねてきている。特に表現活動については保育者が自らやりたいという思いや教材研究、イメージの広がりや創造力を育む支援の在り方について、工夫をこらした園内研修を考え取り組んでいるところである。表現する楽しさを味わいながら子どもたちが主体的に作り上げていく過程を大切にした保育、子ども・保育者・保護者それぞれの感性が豊かに育まれることを願って、本園の取り組みから考察する。
東京都:
田島大輔(文京区立お茶の水女子大学こども園教諭)、宮里暁美(お茶の水女子大学教授)、粕川奈緒子(文京区立お茶の水女子大学こども園教諭)、田尻さやか(東京家政学院大学助教)、松延毅(出雲崎保育園教諭)
テーマ:
写真を使った記録の可能性-保育の質・可視化・省察・発信・対話をキーワードにして-

今日保育は様々な課題に直面していると考えられる。保育の質をどのように高めていくのか。どのように保育を可視化し発信・対話していくのか。そして今日行われた保育をどのように自己の中で内省し、省察していくのか。本研究ではそのような今日的な保育の課題について写真を使った記録から可能性を見出していきたいと考えている。写真を使った記録がどのようにこのような課題に寄与していくのか、文京区立お茶の水女子大学こども園の実践を基に会場の皆様と検討していきたい。
神奈川地区:
久冨多賀子(岩崎学園附属幼稚園園長)、相馬靖明(お茶の水女子大学発達教育科学研究所協力研究員・保育のデザイン研究所研究員)
テーマ:
保育のプロセスを可視化して伝え、学びあう

本年3月に告示された要領・指針のトリプル改訂で、これまでと変わらず強調されているのは、保育をプロセスとして捉え、プロセスとして伝えることの大切さです。保育のプロセスの中核にあるのは「子どもの自発的活動としての遊び」「遊びを誘発し支える環境」「保育者のかかわり」です。本発表では、写真を活用することで語り合う園の文化を作り出す試みを続けられているいくつかの実践を紹介し、プロセスを可視化するために写真を使うことの可能性を検討します。
東海北陸地区(長野県):
宮崎温(学校法人いいづな学園こどもの森幼稚園教員)、山口美和(上越教育大学大学院准教授)
テーマ:
5歳児研究 卒園制作 創作劇作りを通しての学び

ここ数年園の文化になりつつある、年長児、劇制作。子ども達が主体性を持ち「親、年中、年少、先生たちへ感謝の気持ちを込めて何か一つすごいことをやってみよう」と相談を行います。昨年の年長さんに自分たちもしてもらった事を思い出し、今年も創作劇を作りたいと決めました。どんなお話にするかは子どもたち同士意見を出し合い、物語を決めていきます。台本が完成すると立ち稽古を始め、セリフ、劇中の歌や踊りの練習を行います。また今回は一人ひとりの子ども達が達成したい事(こま投げや大縄など)も劇中に織込みました。劇を見てくれた人たちに認めてもらったり誉めてもらったりすることで、年長児の力にし、自信を持って卒園を迎える、そんなプロジェクトになっています。
近畿地区(京都府):
小山智子(泉山幼稚園教諭)、熊谷知子(泉山幼稚園副園長)、河邊貴子(聖心女子大学教授)
テーマ:
保護者との連携に保育記録を生かし、保育の質を高める-ラーニングストーリーの取り組みから見えてきたこと-

泉山幼稚園では、豊かな環境の中で遊びを通してその時期に育つものを丁寧に育てることを日々実践しています。遊びの中にある子どもの育ちや学びを捉える保育記録、そしてそれを保護者と共有するためのツールとして保育記録ラーニングストーリーを活用しています。試行錯誤しながらすすめている“○○ちゃんの学びの物語”の取り組みとそれを通して見えてきた子どもの育ちを保護者と共有することでうまれる保育の質の高まりについて皆様と協議しながら理解を深めたいと思います。
四国地区(高知県):
岡林雅子(学校法人沢田学園認定こども園みさと幼稚園教頭)、尾野絵理圭(認定こども園みさと幼稚園教諭)、有田尚美(高知学園短期大学幼児保育学科准教授)
テーマ:
子ども理解-子どもとの温かい信頼関係の構築に向けて-

一昨年度の保育の振り返りの中で、子どもの真の姿に気づいてやれなかったとの事例があり、子どもの見えている姿にのみ注目し、発達や内面の育ちにそぐわない保育になっていたのではないだろうかという課題が残された。子どもたちの発達の道すじや学びの再確認、子どもたちの行動に温かい関心を寄せた関わりと丁寧な振り返り、エピソードを持ち寄った保育の省察の語り合いをスローガンに、私たちの営みの出発点である「子ども理解」に焦点をあて、その問い直しに取り組んだ。日々の保育の実践事例を通しての問い直しと考察から、私たちの学びと今後の課題を報告したい。
福岡県:
富村圭一朗(フレンズ幼稚園園長)、黒田秀樹(きらきら星幼稚園園長・九州女子短期大学非常勤講師・西南女学院大学短期大学部非常勤講師)
テーマ:
共感し合う保育者と保護者の関係を目指して-保育参観と体験型保育参観-

幼稚園における保育参観の重要性は今さら、申し上げる余地はないと思います。しかしながら、今までの保育参観で本当に「子ども達の普段の姿を見てもらえているのだろうか?」、「幼稚園で行っている保育を伝えきれているのだろうか?」という問いから私たちの研究は始まりました。保育を観ることだけでは、伝えきれないものを保育体験しながら肌で感じてもらい、保護者の保育理解を深め、共感し合う保育者と保護者の関係を目指しました。
安家周一((公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構副理事長・梅花女子大学こども心理学部こども学科客員教授)、川原恒太郎((公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構研究研修委員会副委員長)、水原紫乃((公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構研究研修委員)、影山佳代(あけぼの保育園施設長)、森本亜紀子(あけぼの保育園主任)
テーマ:
3歳未満児の育ちと保育環境を考える

(公財)全日私幼研究機構研究研修委員会より発足した「3歳未満児プロジェクト小委員会」では、私立幼稚園の3歳未満児に対する集団保育のあり方を見直し、また在宅保育の子育て支援を強化することを目的として、研修プログラムを立案している。3歳未満児の施設・家庭保育に対してどのような力添えができるのか。全日私幼研究機構としてその一翼を担うべく学びを深め、各地区での「乳児保育研修」の実施にて寄与していきたいと考えている。当発表では食事・遊び・排泄・入眠等のビデオクリップの上映を通して乳児の保育環境や育ちの課程について参加者と共に議論していく。今回の口頭発表を「乳児保育研修」の草分けとし、今後の研修プログラムの充実を図りたい。

口頭発表【II】13:10~14:30

北海道:
佐藤公文(旭川宝田学園わかば幼稚園園長)
テーマ:
インクルーシブ教育に関する、わかば幼稚園の実践発表

わかば幼稚園は「一人一人が生き生きできる幼稚園」を目指しており、わかば幼稚園の中で、好きなあそびを十分にするということがわかばの幼稚園教育、わかばの幼稚園生活で最も大切なことと考えている。そんなわかば幼稚園の中で特別支援の子どもたちも、周りの子どもたちの刺激を受け、ちょっとした手助けを受け、楽しく幼稚園生活を送ることができる。教職員も保護者も子どもたちの“こころ”も“からだ”も大きく育っていると感じる。※本口頭発表は財団が指定するテーマに沿って開催地区より推薦していただいた研究になります。
北海道:
上村毅(星の子幼稚園園長)、小泉柚香(星の子幼稚園学年主任)、吉川和幸(帝京科学大学准教授)
テーマ:
幼稚園での子どもの育ちをどう記録し、見取り、そして伝えるか

星の子幼稚園では、遊びを通した子どもの育ちを重視し、日々の保育実践を行っています。遊びを通しての子どもの育ちに対する保育者の見取りを深め、それを保護者や保育者間で共有していくために、発達障害の子どもを対象とした「学びの物語」による記録や、学級全体の子どもを対象とした携帯アプリを用いた記録と共有などに、これまで取り組んできました。発表では、これまでの幼稚園での取り組みについて報告するとともに、記録による子ども理解の在り方、そして記録を介した保護者との子ども理解の共有の方法について議論できればと思います。
宮城県:
伊藤真朝(ろりぽっぷ幼稚園副主任)、加茂光孝(ろりぽっぷ学園・幼稚園・保育園学園長、学校法人曽根学園仙台幼児保育専門学校非常勤講師)
テーマ:
4歳児の好奇心から動かされる心の育ち、学びへの関心「好奇心-繰り返し試してみることで膨らむ思い-」

子ども達は、考えたことを実践したり試したりする楽しさや喜びを感じ、そして「これはどうかな?」「やってみよう!」と好奇心がさらに高まり主体的に行動する。その中で新たな気付きや疑問に出会い想像したり分かったことをやってみる。それが心の育ち、学びへの関心と繋がっていくのではないかと考えた。大豆は豆腐や納豆、みそなど家庭でよく食べられる食材に変化する。子ども達の好奇心が強くくすぐられるのではないかと考え、研究対象とした。
新潟県:
中村知嗣(学校法人恵愛学園幼保連携型認定こども園愛泉こども園副園長)、増田幹子(学校法人恵愛学園栄光幼稚園園長)、高橋健介(東洋大学准教授)
テーマ:
お互いの保育を見合う園内研修の取り組み-学園内公開保育とワイヤレスマイク・ビデオを用いた保育カンファレンスを通して-

子ども・子育て支援新制度の実施に伴い、「保育の質」向上にむけた園内研修のあり方が盛んに議論されている。学校法人恵愛学園では、保育者が他者の保育を見ると共に、自身の保育を他者に見られることでの学び合いを重視し、3つの園が共同で学園内公開保育に取り組んできた。また、保育者の限られたノンコンタクト・タイムにおいてもお互いの保育を見合う園内研修を継続できるようワイヤレスマイク・ビデオを用いた保育カンファレンスにも取り組んできた。そこで本研究では、「保育の質」向上にむけたお互いの保育を見合う園内研修について、その意義と課題を検討していきたい。
千葉県:
柴田茂樹(学校法人健伸学院健伸幼稚園教務)、David Freedman(慶應義塾大学環境情報学部教授)
テーマ:
環境によって子どもは変わる-コンゴ民主共和国私立A小学校における1年間の絵画実践を通じて-

現在、幼児教育の教育的意義があるとされてきた、活動のある部分において様々な懸念が高まっている。 日々の保育現場の段階においても教育的意義ばかりが先行し、「子どもたちの育ちにつながる取り組みとは何か」その活動の「本質」を理解せぬまま、無意識的に様々な活動を「こなしている」現状にあるのではないか。という疑問が生じた。その答えを追求すべく、今から幼児教育を立ち上げる段階、全てが簡素で手探り状態にあるコンゴ民主共和国私立A小学校幼稚部に舞台を移し、幼児教育の原点に立ち戻り一つ一つの取り組みを検証した。本研究発表では、本研究者が1年間、現地教員との協働体制で繰り広げた保育実践の一部、絵画活動を抜粋し、「環境による子どもの姿の変容」という視点で言及していく。
東京地区:
永田陽子(大和郷幼稚園園長)、岡健(大妻女子大学教授)
テーマ:
東京地区におけるECEQコーディネーター養成のカリキュラム作成

現在、機構で行っているECEQコーディネーター養成講座は6月の全体会と公開保育への参加、2月のまとめの会があり、ECEQコーディネーターハンドブックを活用しながら研修を行っている。東京地区では、コーディネーター養成のカリキュラムに何が必要かの検討を重ね、特にファシリテイティブな力といろいろな現象を繋ぎ合わせてものごとを考えられる力の育成を目指し、その要素を抽出しカリキュラムを作成した。
東京都:
山口舞・小谷佳苗・日下部弘美(日本女子大学附属豊明幼稚園教諭)、請川滋大(日本女子大学准教授)
テーマ:
保育実践に生かすドキュメンテーション

保育の実践記録としてドキュメンテーションを作成するようになり、2年目を迎えた。日々の保育実践につながる記録を目指して取り組んできたが、作成していく上で直面した壁からドキュメンテーションでは読み取れない部分にも気付かされる。その壁と向き合い克服しながら、ドキュメンテーションをどのように保育実践に生かしているかを述べる。また保育者の記録としてだけでなく、子ども達にも発信し始めたことで見えてきた変化にも触れていきたい。
大阪地区:
杉本圭隆(むつみ幼稚園園長)、永渕泰一郎(畿央大学准教授)、植村まゆみ(むつみ幼稚園副園長)、佐野洋子・藤本まどか・櫃本ひかり(むつみ幼稚園教諭)
テーマ:
遊びの中で新たな発見や発想が生まれる保育環境づくり

あらかじめ決められた活動が多く、自由遊びの時間がその間の休憩時間として捉えられていた3年前。本研究は保育者が遊び環境の重要性に向き合うところからスタートした。写真・ビデオを使った記録や環境構成図などのツールを使いながら保育のふりかえりを行い、「もの」・「空間」・「ルール」・「居場所」など保育環境を継続的に見直していった。次第に子どもが主体的に環境と関わりはじめ、新たな発想で次々と遊びが生まれるようになってきた。
中国地区(山口県):
片山耕修(小郡幼稚園園長)、白木美和(NPO法人交流の館山口短期大学元講師)
テーマ:
園内研修をいかに深めるか

本園は保育映像記録を活用し、園内研修を深めることで保育質向上をもたらすことに経営努力しています。園児活動の映像記録を通し、職員間で保育をふりかえり共有し、育ちを評価することに結びつけています。テーマを2つの論点で問題提起したい。
1. 職員間で共有-園教育の目標となる「子ども理解」と「育ちの方向」を園児の様子から共有できる。
2. 保護者への幼児教育理解-保護者会での写真スライド上映や、ケーブルテレビ放映から親が「園の教育目標」を感じとり、子育てを考える親の意識形成につなげる。それは取りも直さず保育の大切さ・子育ての喜びが社会浸透されることである。
九州地区(熊本県):
岩本里穂・福田詩歩(荒尾第一幼稚園教諭)
テーマ:
子どもの創造性を豊かにする幼児教育を考える

造形素材に向かい、自分で感じたまま工夫し、試行錯誤を重ねて作品を作り出そうとする子ども達の姿に、学びに向かう力を感じます。これからの教育に求められている力と思います。造形活動や、多彩な表現を引き出す身体表現活動の実践のあり方、感性を養う取り組みや想像の世界を仲間と共有する参加劇(ごっこ遊び)の実践報告をします。創造性を豊かにする幼児教育を考えたいと思います。
東重満((公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構研究研修委員会縦断研究チーム座長)、箕輪潤子(武蔵野大学准教授)、中橋美穂(大阪教育大学准教授)
テーマ:
全日本私立幼稚園幼児教育研究機構・砂場遊び研究の中間報告

(公財)全日私幼研究機構研究研修委員会・縦断研究チームでは平成28年度の一年間に亘って24園の幼稚園・認定こども園に対し砂場遊びの撮影を依頼し、砂場を通して分かる遊び全体の流れや、子どもたちの砂場に対する物事へのかかわり、また自己や人との関わりについて気づいたことについて各園にて記録調査を行った。この1年間の調査を通して分かる年齢ごとの非認知的能力・知的能力の育ち等について考察したいと考える。

【平成29年6月30日現在】