各種教育機関、ご家庭と手を携え、生涯の基盤を担う「幼児教育」の質の向上と子どもの育ちを支えます。

一般財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

幼児教育実践学会

幼児教育実践学会

口頭発表一覧

平成26年8月23日(土)口頭発表【I】10:00~11:30

  1. 北海道地区:吉田 耕一郎(北見北光幼稚園園長)、山口 宗兼(北海道文教大学人間科学部こども発達学科講師)

    テーマ:北海道の幼稚園における環境条件と保育内容・方法に関する研究
    北海道における幼稚園の様々な環境条件と保育の内容・方法の実態について調査を通して明らかにし、保育者養成の内容・方法についてよりよい在り方を追究する。

  2. 東北地区(岩手県):石川 悟司(盛岡大学児童教育学科准教授)、千葉 瑞穂(盛岡大学附属松園幼稚園教頭)

    テーマ:5歳児における協同的学び
    2011年に発生した東北地方太平洋沖地震により、東京電力福島第一原子力発電所が被害を受け大量の放射能物質が拡散された。このことを受け、幼稚園における栽培活動をどうするのかについて、園児・教師、そして保護者を巻き込んだ様々な活動が展開された。主に5歳児が、共通テーマ(通称いも会議)についてみんなで話し合い、動いていく様や、そこから派生していく様々な子どもたちの動きを通して、5歳児における協同的学びについて考えていく。

  3. 福島県:遠藤 恵美(みなみ若葉幼稚園教諭)、佐藤 美香(みなみ若葉幼稚園教諭)

    テーマ:幼児の生活と運動能力の関連性
    公園が機能を失い、制約が増え、子供が減る社会状況の中、幼稚園は子どもが夢中になって遊び、自発的に運動できる場所や時間、仲間がある唯一の環境である。家族が子供と身体を動かし、共に楽しさ、満足を体感し活動を継続させる行事をどう増やし、展開するか幼稚園の工夫が必要である。放射線への不安を乗り越え、健全な心身を育てる家族ぐるみの行事のあり方を目指している。楽しく身体を動かし、家庭と連携した運動遊びへの取り組みと環境を活用した保育内容が生み出す個々の運動能力向上の道筋を確かめていきたい。

  4. 関東地区(栃木県):小倉 庸寛(愛泉幼稚園副園長)、高柳 恭子(宇都宮共和大学准教授)

    テーマ:保育記録のあり方について
    幼稚園では、幼児教育に基づく指導計画、指導案を年、月、週、日でそれぞれ作成しています。それに基づき子どもの育ちを振り返りながら教師自身が反省や評価をし、また次につなげていくというサイクルを繰り返しています。このサイクルを円滑に回していくための記録のあり方について考えたいと思います。

  5. 東京地区:永田 陽子(大和郷幼稚園園長)、町山 太郎(まどか幼稚園園長)(共同研究:赤石元子)

    テーマ:保育の質を考える-環境と子がつながる保育者の役割-
    前回は、遊びの質に関する意識調査を行い、その結果報告と保育の質についての実践事例を発表いたしました。今年度は、前年度の発表を踏まえ、保育の質を高めるためには、子どもが環境と出会い、その環境をいつの間にか自分のものとしていく過程を、発達の連続性を形づくる過程に注目することが必要だと考えます。そこで、今回は環境に焦点をあて実践事例を考察し保育者の役割を探っていくことを研究目的とします。

  6. 神奈川地区:佐伯 妙有(伊勢原ひかり幼稚園副園長)、佐藤 康富(鎌倉女子大学短期大学部初等教育学科教授)

    テーマ:ファシリテーターを育てる幼児理解と園内研修
    園の保育の質を高めるために、自園で自己評価をしたり、園内研修をしたり、様々な工夫をされていることだと思います。しかし、今ひとつ上手くいかないのも現状でしょう。保育の質を高めるには、誰か一人のカリスマ先生がいるのではなく、園全体が質的に高まる工夫が必要です。そのキーは園内研修を上手くリードし、内容を深めるキーパーソン、つまり、ファシリテーターの役割が重要であることは言うまでもありません。ここでは、その実践的スキルの紹介をしながら、どのように進めるとよいのかを検討していきます。

  7. 東海北陸地区(三重県):内田 洋子(津幼稚園園長)、堀内 礼緒美(津幼稚園副園長)、小川 雄二(名古屋短期大学教授)

    テーマ:保育と食育"お味見当番の取組みで、感じる力・考える力・言葉で表現する力を育てる
    給食を保育における重要な時間として位置付けて5歳児クラスでお味見当番に取り組んだ。お味見当番さんは、給食室の前でその日の給食を味見させてもらい、クラスに戻って味見の結果を言葉で報告する。子どもたちは献立名、どんな食材がどう調理されているか、色、形、匂い、食感、味などを自分なりの言葉で表現する経験を重ねていく。本研究では、お味見当番による子どもの感じる力・考える力・言葉の力などがどう育つのかを報告するとともに、今後の課題についても考察する。

平成26年8月23日(土)口頭発表【II】13:30~15:00

  1. 神奈川県:田島 大輔(東京都・台東区立ことぶきこども園研究主任)

    テーマ:障がいのある子どものいる保育
    特別支援教育が始まり幼稚園保育園でも個別の支援指導計画が作成されるようになってきた。専門家との協同や支援シートを使っての小学校への接続等も行われてきている。一方で障がい名が先行した子ども理解に偏り保育本来の行為とはかけ離れて"借り物"のような保育が行われている姿が見られている。本来保育とは障がいの有る無しに関わらず一人ひとりの個性や違いを受け止め、いきいきと主体的に活動できる様にしていく行為であると考えている。そこで本研究では、障がいのある子どもの保育に着目し保育本来の営みのある新たな障がいのある子どものいる保育を考えていきたい。

  2. 近畿地区(兵庫県):髙橋 秀典(慈愛幼稚園理事長)、瀧川 光治(大阪総合保育大学准教授)

    テーマ:伝え合う姿-豊かな言葉の育ちを支える教師の役割-
    人は成長するにつれ、言葉によるコミュニケーションが少しずつ豊かになってきます。そこで尼崎市私立幼稚園連合会研究部では、3歳児で入園した子どもたちが卒園するまでに、幼稚園で先生や友達と関わる中で、言葉が成長とともにどのように豊かになっていくか、それを支える教師の援助や役割はどういうものであるかを事例をとおして分析しました。その分析を通して見えてきた「3・4・5歳児の伝え合う姿を意識した子どもの姿」「伝え合うが育つための教師の役割」を尼崎市の実践研究として報告させていただきます。

  3. 宮本 涼子(大阪ひがし幼稚園教務主任)、山田 悟史(金田幼稚園主事)、卜田 真一郎(常磐会短期大学幼児教育科教授)

    テーマ:次世代の保育者を育てる-教育実習及び新任教員への指導について-
    各保育現場や養成校において「次世代の保育者を育てる」ことは重要なテーマに他なりません。このテーマに対して教育実習における学生への指導や新任教員への指導の在り方について考え、その方法論について整理していくことを目的とし研究を進めました。その一つとしてアンケートを保育現場、養成校双方に実施し、その結果を分析・考察しながら指導の諸課題への解決策を探ると共に、保育現場と養成校の役割分担について考えていきます。

  4. 大阪府:岩﨑 巧(幼保連携型認定こども園庄内幼稚園教諭)、塩飽 和也(幼保連携型認定こども園庄内幼稚園教諭)

    テーマ:対話の保育から得られる子どもの学び、保育者の関わり
    当園は、普段の保育や行事を子どもが主体的に活動できるように、大人や子どもとの応答的な関係性を大事にした保育を目指しています。そして子どもと共に作り上げる過程を大切にした対話の保育を、試行錯誤しながら進めてきました。0歳児からの子どもが生活する幼保連携型認定こども園として、0歳児から5歳児までの子どもが対話の中でどんな学びを得られるのか、保育者もどう関わればよいのかを、今まで改善してきた経過を踏まえながら考察したいと思います。

  5. 中国地区(岡山県):河原 智美(内山下幼稚園園長)、湯澤 美紀(ノートルダム清心女子大学准教授)

    テーマ:豊かな体験を学びにつなげる教師の役割
    幼児の遊びの中に生み出されていく多様な学びの芽を、教師はいかに育てていくことができるだろうか。本研究では、幼児が「わくわくしている遊び」に着目し、そこに埋め込まれている学びの意味を、幼児のつぶやきや遊びのエピソードを通して読み解きながら、豊かな体験を学びにつなげていくために教師が果たすべき役割について考えていきたい。また、園全体として目的をもって研究に取り組みながら、教師一人一人が、教師としての力量を高めていくための研修のあり方についても提案していきたい。

  6. 福岡県:村上 里絵(光沢寺中井幼稚園園長)、門田 理世(西南学院大学人間科学部・大学院人間科学研究科教授)

    テーマ:保育実践に生きる園内研修
    日々の保育の営みの中で保育者は、子ども理解に努め、指導計画を立て、実践し、自身の保育を省察し、明日の保育を考える。このサイクルの積み重ねが保育実践の質を向上させる。しかし、それは担任一人で行えるものではなく、現場での同僚との協働の中での学び、専門的発達に導く先輩保育者の存在、また、研修による刺激を分かち合う関係が、専門職としての確かな成長へと繋がるのである。保育実践に生きる"分かち合い、学び合い、育て合う場"としての「園内研修」について考える。

  7. 四国地区(愛媛県):丸山 利夫(三葉幼稚園教諭)

    テーマ:保幼一貫教育 1歳からの幼稚園教育-質の高い理想の幼児教育を目指して-
    三葉幼稚園は「保育内容・教員の質の向上」を目的とし、平成22年12月に1・2歳の乳幼児を対象にした「みつばようちえん地域保育所ぴよぴよ」を設立した。平成26年3月に認証保育所となり、これまで以上に地域に対して充実した子育て支援を提供する施設としての役割を担わなければならない。これまでの地域保育所としての経緯を振り返り、新たに「保幼一貫教育」というテーマを掲げ、質の高い理想の幼児教育を目指した教育の実践経過を発表したい。

  8. 九州地区(福岡県):原 孝成(鎌倉女子大学短期大学部教授)、舩津 正行(緑ヶ丘第三幼稚園長)

    テーマ:新任教員の意識から見る私立幼稚園の課題
    私立幼稚園の人材不足は年々深刻度を増しており、いくら求人票を配っても必要人数すら応募してこない。まして選抜、選考は到底出来なくなって来ている現実があります。一方、教員の勤務年数は極端に短く、多くは20代で辞めている。これは人材不足の一因になっている事に間違い有りません。さらに、そのことは保育者の質の向上を妨げており、園長・設置者の中からは「せっかく一人前に育て上げた先生もすぐに辞めてしまい、いつもいつも新採研修ばかり繰り返している」と言った感想も少なく有りません。今回の口頭発表は、我々が得た新採研の機会を生かし、1年目及び新採予定者の生の意見を直接聞き、分類し、データ化してみました。すると意外な実態が幾つも見えて来ました。私立幼稚園の管理・監督者として必見であり、目から鱗と言わざるを得ません。現場ですぐに出来る事。そして、全日等組織でやるべき課題が見えて来ました。子どもの明るい未来と、日本の豊かさを保持し発展させる一歩として、ご認識いただきたいと思います。

平成26年6月30日現在